競泳男子背泳ぎで五輪4大会に出場した入江陵介(34)が昨3日、引退を表明した。

 12年ロンドン五輪で200メートル背泳ぎ銀を含むメダル3個を獲得した入江は「長く競技生活を送ることができ、心から幸せだった」と涙ながらに話した。

 今後については所属クラブに籍を置きながら若手を指導するほか、大学院への進学予定も明かした。「幅広く活動しながらいろいろと勉強したい」と、競泳にとどまらず見識を深めたいとしたが、経験豊富なメダリストを競泳界が放っておくはずがない。

 金2個を含むメダル3個に終わった21年東京五輪以降、低迷が続く日本代表の再建に担ぎだされそうだ。

 入江は専門の背泳ぎだけでなく、調整の一環として個人メドレーで大会に出場するなど、他の3種目にも精通している。幼少の頃は偏食だったこともあり、栄養学やトレーニング法などを独学で習得に励むなど、理論派でもある。

 ここ数年は主将としてナショナルチームを率いたこともあり、男女問わず若手からの人望が厚かった。

 かつては日本のお家芸種目の一つだった競泳の弱体化は目を覆うばかり。銅メダル2個に終わった昨年の世界選手権(福岡)後には、代表選手から「アスリートファーストではなくなった」と、水連や代表首脳陣への批判が続出した。多くのメダリストを育成した平井伯昌元ヘッドコーチが日本代表を離れてからは指導方針が一貫せず、選手強化の遅れが目立つなど、機能不全に陥っているのだ。

 今夏のパリ五輪を控える中、日本のお家芸再建は陸に上がったばかりの入江に託した方がよさそうだ。

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 入江がパリ五輪への意欲を表明したのが2022年夏。当時明かしていた日本の競泳界に抱いていた「危機感」とはーー。

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